StudioASPが取材した音楽スタジオ・インタビュー特集(全66回・2014年3月〜2019年10月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

音楽スタジオファイル Vol.29

下北沢 ANDY'S STUDIO

ANDY'S STUDIOについて
新しい音を探し求め、トラックメイカーたちが足繁く通ったシモキタの楽器店「ANDY'S MUSIC」を前身とするCLUB251系列のリハーサル&レコーディングスタジオ。幾多の人生が交差するY字路の片隅で、過ぎ去りし「音楽的時間」が空間を温め、音づくりに"打ち込む"ミュージシャンにとって密度の濃い創作環境となって息づく。251と440の譜線上に響きわたる付点全音符、アンディーズのMUSIC STORY(小節)はこれからも続いていく。
ANDY'S STUDIO お問い合わせ
ANDY'S STUDIO 公式サイト
世田谷区代沢5-29-15 SYビル2F
TEL 03-5432-3805
営業時間:11:00〜26:00

音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 ANDY'S STUDIO 編

このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

ANDY'S STUDIO マネージャー 益山泰一氏
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本日は下北沢ANDY'S STUDIO マネージャーの益山さんにお話をお伺いします。先日、ANDY'S STUDIOと同じCLUB251系列のTRI-TONEさんにもお話をお伺いしました。まずはお店設立の経緯を教えてください。

2002年2月にオープンしました。ここは「ANDY'S MUSIC」という楽器屋でしたが、当時はCLUB251とは別の会社でした。

ANDY'S MUSICはANDY'S STUDIOとはどういうった関係なのでしょうか。

CLUB251とANDY'S MUSICは経営者が兄弟だったというだけで、会社自体は別々のものでした。お兄さんがCLUB251で、弟さんがANDY'S MUSIC(当時)の社長でした。

CLUB251の系列店となった経緯についてお伺いしてもよいでしょうか。

経営的な内部の話はあまり詳しくは知らないのですが…。2000年以降、ソフトウェアでの音楽制作が急速に主流になってきて、当時のANDY'S MUSICが主に取り扱っていたハードウェア(シンセサイザーなどの楽器)の売り上げが下火になってきたんですね。それで、楽器販売以外の業態も取り入れようということで音楽スタジオをスタートしました。

旧ANDY'S MUSIC時代からスタジオがあったのですね。

はい、店舗を楽器販売とスタジオの半分にわけて運営していました。ところが、最終的にはANDY'S MUSICは運営終了することになってしまい、当時の状況的に理想的な形とは言えないですが、有限会社251がスタジオ部門を吸収する形になったんです。

なるほど、そういう経緯だったのですね。詳しいお話、ありがとうございました。

なのでTRI-TONEとANDY'S STUDIOは、まったく別のスタジオですが、そういう経緯で同じCLUB251系列の音楽スタジオになっているわけです。

TRI-TONEの松澤さんによれば、レコーディングの方は(TRI-TONEより)アンディーズの方が充実しているとのことでした。

そうですね、ウチは最初からレコーディングをやっていました。といっても、レコーディング専門スタジオという訳ではなく、リハーサルとレコーディングの両方が出来るので、どっち付かずの感もありますが(笑)、このバランスを好んで利用し続けてくれる方がいるのは嬉しいことですよね。

リーズナブルな価格で、どこまでニーズに応えられるか

レコーディングでの利用にあたっての特徴はどのあたりですか?

リーズナブルな価格でどこまでお客さんのニーズに応えられるか? という部分ですね。もちろん、大きなスタジオではないので、限界はあるんですけどね。

リハーサルスタジオの方はどうでしょう。

部屋数が少なく、沢山のお客さんに使って頂ける訳ではないので、一見さんというよりも、常連さんで埋まっているという感じです。学祭シーズンだったり、休みだったりっていうシーズン毎に学生さんが大勢来るということも少ないので、そこは、TRI-TONEとはキャラが違う点ではないでしょうか。

常連さんが多いというのはすごいことですよね。

多分ですけど、スタジオ数も限られているので、あまりガチャガチャしておらず、慣れてしまえば使い勝手が良いし、かつ若い子でごった返してないから、おじさん達には居心地がいいのかもしれません(笑)。

勝手知ったる…、というやつですね。

そうですね。唯一、荷物が置けないので、そこがクリア出来たらもっと常連さんが来るのかな?とも思っています。

荷物を預かってもらうのは相当便利ですが、やはりむずかしいですか?

直接の利益にならない事にポジション(置き場所)を確保するというのは、現状なかなか難しいですね…。スペース的に事務所を半分潰す事になっちゃいますから(笑)。あと、セキュリティもしっかりしないといけない。荷物保管って、建前的には自己責任になっていますが、なんだかんだ、そういう訳にもいかないですからね。お客さん的にしてみれば。

少し話が変わりますが、このビルのB1にあるライブハウスのCLUB251と連動した企画やサービスなどはあるのでしょうか?

今のところ、そういうのは基本的にはないんですけど…。251のスタッフさんが当日の出演者をウチのスタジオに紹介してくれる時は、出来る範囲内でお手伝いするようなことはやっています。でも、あくまで都合があった時だけですのでオフィシャルではありません。なので、具体的なサービスを期待されてもお約束などは出来ませんので、あまり期待はなさらないようお願いします(苦笑)。

それでは続いて益山さんはドラマーとしてもいくつかのバンドで活動しているとのことですが、音楽、楽器との出会いを教えてください。

中学1、2年の頃にギターを始めました。下北沢にミュージックワダ(和田楽器:2008年下北沢店閉店)という楽器店があって、そこの奥にスタジオがあったんです。そこのギター教室に通っていました。

ミュージックワダ! スタジオが20時で閉まるというなかなかレアな、下北沢でも最古のスタジオの一つですね。

それです(笑)! その後、高校までは音楽を聴いていただけで、楽器には触れていませんでした。その後、高校でAKAIのMPC3000というDJ向けのサンプラーを買って打ち込みをするようになりました。自分で機材を使って音楽を作るっていうのはそこからですね。

高校生にとっては相当高価な買い物ですね。(MPC3000 当時定価¥275,000)

はい、ローンで買って、バイトして返済していました(笑)。当時ヒップホップが好きで、打ち込みのコンピューターミュージックに夢中でした。

益山さんは、今、おいくつですか?

1978年生まれで、今年38歳になります。

益山さんの高校時代はバンドブーム晩期だったと思いますが、それでも打ち込みをやるのはまだ少数派だったのでは?

僕は、バンドカルチャーじゃなくて、クラブカルチャーの人達とよく一緒にいました。クラブに遊びに連れて行ってもらっていて、ライブを観に行く場所も、クラブっぽい所が多かったですね。クラブカルチャーの人達が、ちょっと前はバンドをやっていたらしいので、ちょうど変換期だったと思います。

ドラムをはじめるのはいつ頃なのですか?

ドラムを始めたのは少し遅くて、20歳くらいです。

ヒップホップの打ち込みから生楽器に移行したきっかけは?

様々な音楽を聴くなかで生楽器の音に魅力を感じるようになって、打ち込み以外に生楽器もトラックの中に混ぜたい、という欲が出てくるようになったんですね。

なぜ、ドラムを選んだのでしょうか?やはりヒップホップ的なドラム?

当初は、これといって何をしたかったって訳じゃなく (笑)。僕は、ここら辺(下北沢)が地元なんですけど、友達とバンドをやろうと言う時、ドラムがいなかった、というのもドラムを始めるきっかけですね。他にもドラムの代わりになるような事もしましたが、最終的にドラムに落ち着きました。

どのようなバンドで活動してきたのですか?

Groupという名前のバンドで、インディーズでCD2枚くらい出しました。そのバンドは随分前に辞めてしまったんですけど、今も何個かバンドをやっていて、いずれもドラムを叩いていますよ。

この空気感を気に入ってもらえたら嬉しい

それでは最後になります。ANDY'S STUDIOさんからメッセージをお願いします。

基本的にスタジオというのは、どこに行っても同じようなものだと思います。なので、まずは、ウチも一回使ってもらって、この空気感を気に入ってもらえたら嬉しいです。色んな機材を触りたいとか、新しい機材をいじりたいとか…、その辺は、大手スタジオさんの方が充実していますが、試しにウチを使ってみてください、馬が合う人もいるかもしれませんから(笑)。

やりこむ人にとっては使い勝手の良いANDY'S STUDIOさんのような場所を好む人は多くいらっしゃると思います。

そうですね。無理して使う事はないけど、食わず嫌いにならず、使ってもらえると嬉しいです。でも、ロビーが狭いので、くつろぎたいとか、バンドミーティングしたいって時は、ストレスを感じるかもしれないので、そういう方には向かないかも(笑)!

そこは「距離の近い関係」という事で(笑)。実際、今この取材中も、私の知り合いでもある「ThePOPS」さんが、偶然リラックスしてたむろってますし(笑)。本日は貴重なお話をありがとうございました。

ありがとうございました。浅井さんも、この後ThePOPSのライブでお会いしましょう!

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2016年6月)

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AKAI MPC3000
90年代以降のヒップホップを作った銘器。CD同等のサンプリングレート、同時発音32音、レゾナンスフィルター機能などで作った音でシーケンスを組み立て、16個のパッドに配置してリアルタイムに演奏を可能にするドラムマシンのような筐体を採用。ラックマウントで利用するサンプラーを楽器に昇華させた歴史的な一台。
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