音楽スタジオファイル Vol.25
STUDIO MUSEUM 新宿店
- スタジオミュージアムについて
- 新宿駅南口から徒歩5分のアクセス便利な立地にありながら、人のぬくもりを感じる南新宿商店会エリアに2001年新宿店オープン。スタジオミュージアム笹塚店、ライブハウス下北沢MOSAiCを展開する(有)ミュージアムコーポレーションが運営。新宿店は全9部屋。徹底した利用者目線の細やかなサービスと、最大の強みであるスタッフのクオリティーの高さで、音楽リハーサルはもちろん様々な創作活動の場として幅広く活用されている。
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住所:渋谷区代々木2-19-5
TEL:03-3373-8200
受付時間:9:00〜24:00
音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 STUDIO MUSEUM 編
このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
STUDIO MUSEUM エリア店長 矢崎優氏
本日はスタジオミュージアム・エリア店長の矢崎優さんにお話をお伺いします。まずはスタジオミュージアム設立の経緯からお聞かせ下さい。
1987年に(有)ミュージアムコーポレーションという会社を設立したのが始まりです。1988年にミュージアム笹塚店がオープン、もう閉店してしまいましたが新中野店も立ち上げました。その後、2001年にここ新宿店がオープンして今年で15年になります。スタジオ以外にも、2004年に下北沢にライブハウスMOSAiCをオープンして、現在この3店舗を経営していることになります。
初めからスタジオやライブハウスを作る目的で設立したのですか?
そうですね。ただ、最初の笹塚店は建物自体がスタジオの作りではなかったみたいなので、そこからスタジオに変えていったので結構大変だったようです。
スタジオミュージアムとしての特徴、差別化しているポイントなどを教えてください
音楽スタジオということで運営をしていますが、新宿店周辺にはオフィスが多いので、1〜2時間会議で使いたい、ということでスタジオを予約される方もいらっしゃいます。なので、テーブルを用意するなど、リハーサル以外の用途にも便利に使っていただける用意をしています。
笹塚店の方はどのような感じでしょうか?
笹塚店は部屋も広く、専用ロビーのあるスタジオもありますので、大人数でご利用するお客さまでも周りを気にすることなく、ゆっくり休憩や打ち合わせなど出来る空間となっております。両店ともリーズナブルな料金設定となっており、音楽スタジオとしての利用はもちろん、ジャンルや用途に関係なく気軽に利用していただけるような環境作りは常に心がけているところです。
会社の会議室として音楽スタジオを利用する方もいるのですね。
最近は「音楽じゃないんですけど…」という問い合わせも多くなりました。常識的範囲ではありますが、引き受けています。
多様化してきているスタジオの利用方法に柔軟に対応
防音室なので会議の中身が外に漏れることもないので便利ですね。
あとは、近くで撮影をする方が多いので、スタジオを機材置き場にしつつ、休憩ルームに利用するという方もいました。最近はそういった、音楽利用以外の需要が増えてきているので柔軟に対応しています。スタジオというものの使い方がどんどん多様化していると感じます。
音楽スタジオも競争が熾烈になっているという話もよく聞きます。とくに新宿は激戦エリアですが、スタジオの稼働率など、そのあたりの話をお伺いしてよいでしょうか。
新宿店周辺には学校も多いのでスタジオ料金は安く設定しています。CDは売れない時代ですけど、サークルやバンドをやっている学生で卒業シーズンなどは賑わっているので、売り上げについては、上がっている…、とまではいきませんが、下がってはいないと思います。笹塚店は法人のお客さまが比較的多いので、時期的な要因に左右され、売り上げに影響する事が多いのが現状ではありますが、地域のお客さまが個人練習としてフラっと来てはご利用してくださいますので、部屋は埋まっている事が多いです。
なるほど、貴重なお話ありがとうございます。新宿店にしてもすでにオープンから15年です。長く続いている理由というのはどのあたりなのでしょうか?
新宿店に関してはやはり、学生のお客さまの存在が大きいと思います。はじめは特に学生の存在を意識してなかったんですけど、近くに大学があったので「学割を作ってみたらどうか」という所から始まり、その後、積極的に学生に向けたサービスの提案をするようになりました。
高校の時にLUNA SEAのビデオを観て音楽をやろうと決めた
では続いて、矢崎さんのことについて教えて下さい。もう、ミュージシャンであることは確実なので(笑)、音楽活動経歴を教えてください。
僕はクラブミュージックの打ち込み、DTMで作る音楽をやってました。
それはいつぐらいからでしょう?
20代前半から30歳くらいまでですね。高校の時にギターを始めたんですけど、人と音を作るのが結構苦手で、バンドには向いていないと思い挫折しました(笑)。楽曲制作は自分一人でして、曲を提供する方が合ってるんです。ユニットを組んでいた時期は、週3くらいクラブでライブDJとして活動もして、積極的に音楽活動していました。
現在も楽曲制作は続けられているのですか?
趣味程度ですけどやっています。
影響されたミュージシャンは?
僕はもう完全にLUNA SEAのSUGIZOさんです。高校の時に、LUNA SEAのライブビデオを観て、そこから音楽をやろうと決めたんですよ。人をその気にさせるミュージシャンってそんなにいないと思うんですよね。ビデオ映像の中ではありますけど、そういうすごい人に出会い、僕も同じステージに立ちたいなあ、って思ったんです。
SUGIZOの影響で高校の時にギターをはじめたのですね。
はい、ギターは挫折しましたけどね(笑)。
熱狂的なほどに影響されながら挫折も早かった…(笑)。SUGIZOは今も好きなんですよね?
大好きです。LUNA SEAも大好きですよ。
聴く音楽はロック系が多いのですか?
いえ、基本はHIPHOPなどブラックミュージックです。
SUGIZOの大ファンだけど、聴くのはHIPHOP?
そうです。クラブ系の音楽です。ホントよくわからないですよね(笑)。
クラブ系で影響されたミュージシャンを教えて下さい。
クラブ系だと、ミュージシャン、というよりプロデューサーになりますが、Timbalandとか、Swizz Beatzですね。トラックメイカーで、たまに歌ったりもするんですけど、そういう人たちの楽曲には影響されました。
SUGIZOもオールジャンルに多才な人ですが、SUGIZOに憧れてギターをはじめてHIPHOPまでたどり着いたというのが不思議な感じがしますね。
確かに(笑)。友達がラップしていたり、クラブシーンで活動している仲間が周りに多かったので、そういう人達と付き合っているにつれて、徐々にトラックを依頼されることが多くなっていきました。
純粋に楽しんで音楽をしている人達の中で仕事をしたかった
トラックメイカー、DJというプレイヤーの立場から、スタジオ業界に入ったきっかけについて教えて下さい。
一旦プレイヤーの立場から離れてみようと思った時期があったんですよ。 その時に、他のミュージシャンをサポートできるような仕事をしたい、と思ったんです。スタジオって、音楽の世界で売れようと思っている人たち、もっとうまくなりたい、もっと良い音楽を作りたいという、向上心のある方が集まる場所ですから、そういう人たちをサポートしたいと思いリハーサルスタジオで働くことにしました。後は、純粋に楽しんで音楽をしている人達の中で仕事をしたかったです。
音楽に対する関わり方は様々ですが、基本的に矢崎さんは、決断と行動が早い方なんじゃないですかね?
それはあるかもしれないです。ただ、諦めも早すぎるので、それが原因で一流の物がないんですよ。色んな物に手を出し過ぎて、何もやってない人よりはちょっとできるけど、1等賞になれる物がない、って感じです(笑)。
現場での判断の早さ、プレイヤーであり複数の視点をもってアーティストをサポートするというのは、プロデューサー的な資質なのかもしれないですね。それでは最後になりますが、メッセージなどあればお願いします。
新宿店では、学校や会社帰りでも気軽に立ち寄れるよう、レンタル機材を充実させております。笹塚店は法人のお客様も多くご利用いただいておりますが、学割サービスもありますので、学生さんにも是非お越しいただきたいです。音楽リハーサルはもちろん、そうでないお客さまにも利用しやすい環境作りを徹底しています。スタッフの人柄の良さと、店員としてのクオリティは高いです。会社としてはそこに1番力を入れているので。
それはすごく重要なポイントです、具体的には?
ずばり、お客さまの目線になれるという所ですね。お客さまがやりやすいと思う環境をスタッフ同士で常に話し合っています。例えば、各部屋にテイクフリーの五線譜や、筆記具を置いたり、自分でプレイヤーを持って来て、そのままミキサーを通して曲を流す方たちの為に、iPhone用ケーブルを常備し、すぐ音が鳴るような環境も作ったりしています。または、子供を連れて来られるお客さまの為に、簡単な遊び道具を置いたりしています。
さきほどスタジオを拝見しましたが、ドラマー的には、スタジオ内にガムテープが常備されているのは嬉しい配慮でした。そしてティッシュとタオルの設置もありがたいです。
大きな規模でのサービスは大手には及ばないかもしれませんが、あくまでも僕たちのできる範囲で、多様な創作活動の場として、多くの方にできるだけ気持ちよく利用していただけるようにアイデアを出し合うよう心がけています。
内助の功のような思いやり、素敵なスタジオです。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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