音楽スタジオファイル Vol.58
西新宿 Submarine STUDIO
- Submarine STUDIO について
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2018年6月にオープンしたミュージシャン思想のプロ仕様レコーディングスタジオ。ヴィンテージ感溢れる温かみのある空間で、最大4ブースを使ってのバンド同時録音が可能。Superfly、アンジェラアキ、BONNIE PINKのプロデュース、the brilliant greenのツアーバンマスなど、多くのアーティストの作品を手がけた松岡モトキ氏を中心に、ミュージシャン、エンジニアの理想を具現化した空間で作品づくりをサポートする。西新宿五丁目(大江戸線)徒歩7分、方南通り沿い。
- Submarine STUDIO お問い合わせ
- Submarine STUDIO公式サイト
渋谷区本町4-21-2 エフビルB1F
TEL:090-9858-9865
受付時間:10:00~24:00(年中無休)
音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 Submarine STUDIO 編
このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
本日は西新宿Submarine STUDIO、 プロデューサーの松岡モトキさん、スタジオマネージャーの小林頌平さんにお話をお伺いします。新しいスタジオですが、オープンはいつになりますか?
松岡今年(2018年)の6月にオープンしました。
「西新宿Submarine STUDIO」とご紹介させていただきましたが、ここは渋谷区になりますよね?
松岡所在地は渋谷区本町なんですよね。でも、位置的には中野坂上と初台のあいだ、最寄り駅は清水橋(西新宿五丁目駅)ですが、清水橋はあまり知られていない…。「スタジオの場所はココです!」と伝えづらいですねぇ(苦笑)。
確かにこの辺は渋谷区というイメージではないですね。それではわかりやすく「西新宿の〜」ということでよいでしょうか。
松岡はい、アクセスの良い西新宿ということでおねがいします(笑)。
まず、Submarine STUDIOオープンまでの経緯をおしえてください。
松岡現在のオーナーが、曙橋にFAVREというプロジェクトスタジオを持っていたのですが、入居していたビルの老朽化で解体することになって、ここに移転してきました。
松岡さん、小林さんがSubmarine STUDIOに来られたきっかけは?
松岡前スタジオからの移転にあたって、スタジオプロデューサーとしてお誘いを受けまして、立ち上げから参加することを決めました。
小林松岡のマネージメントをしていた私も、運営・管理役として参加することになりました。
松岡さんは、スタジオをプロデュースするような仕事もされていたのですか?
松岡プロデューサーというと、言葉の定義が広いですが、僕の場合は、ディレクターやビジネス寄りの仕事を担当するポジションではなくて、自分でギターを弾いて、コンポーズ、アレンジをする「音楽プロデューサー」をやってきました。
「せーの!」でバンドの生演奏を録れるスタジオ
それがSubmarine STUDIOの特徴となりそうですね。松岡さんのスタジオづくりのモットーについてくわしく聞かせてください。
松岡これまでの僕の仕事でも、ドラムとベースの生合奏から生まれるグルーヴの迫力、という部分は重視してきましたので、生演奏で「せーの!」で一緒に録れるスタジオ、というところはこだわりました。
それはライブ演奏の臨場感を大切にするバンドには朗報ですね。しかし、最近は、一発録りでレコーディングするバンドも、スタジオ形態としても少数派です。
松岡はい、最近は自分たちで楽器演奏するというより、打ち込みが多くなってきましたから、レコーディングスタジオとしても1ブースで事足りるという傾向はありますよね。
やはり、バンド一発録りのサウンドには惹かれるものがありますか?
松岡バラバラで録音したものでも、すばらしい作品はありますので、スタイルの問題だと思います。そのあたりは、今の主流と逆行しているのかもしれないけど、僕らと同じ理想を求めている方も大勢いらっしゃるので、しっかり応えていきたいですね。
アナログとデジタルを、上手く融合しているように感じます。
松岡そうですね。でも、アナログテープや卓を使うわけではないですから、なんでもかんでも「アナログにこだわって!」という録音技術や音質の話ではありません。演奏者のマインドに影響する部分、たとえば、壁に木材や石材などの自然なものを使ったり、演奏中に体感する音響調整まわりをアナログにしたりすることも、音楽的なところに影響を与えるものだと思います。
小林そういう意味で「アナログ」は、このスタジオのキーワードですね。
松岡おかげで、キューボックスもそこにある通りです(笑)。今は、コンパクトなデジタルのやつで安く出来ますが、ミュージシャンサイドの発想だと、このキューボックス(12chミキサー)のほうが演奏しやすかったりするんです。
スタジオの鳴りは、サウンドや演奏面にも大きく影響しますよね。
松岡確実に影響しますね。エンジニアさんのこだわりとしては、まだまだこれから追求したいところがあるようですが、現状でも、かなり演奏しやすい環境だと自負しています。とくに、生楽器であるドラマーさんから「気持ちよくたたける」と言っていただけるのは1番うれしいですね。
実際に、一発録りをされたミュージシャンの評判はいかがですか?
松岡僕がプロデュースしている「忘れらんねえよ」というバンドが今月(2018年12月26日)リリースするアルバム『あいつロングシュート決めてあの娘が歓声をあげてそのとき俺は家にいた』公式サイト)は、このスタジオで生の一発録りをしました。彼らは昔からこのスタイルで、クリックも使わず、ボーカルもそのままです。
4ブース同録可能。若者のバンドにもぜひ使ってほしい
バンドにとってもレコーディング・スタジオとして理想的な形態の一つだと思いますが、コスト面はどうでしょうか。
松岡決して広いスタジオではないのですが、この狭いスペースだからこそ可能になっているところはあります。4ブースで同時録音可能で、ケーブル類もドアの開閉なしで取り回せるよう専用の経路を確保しています。もちろん、広くて値段もそれなりのプロスタジオはありますが、この規模ではそうそうないはずですよ。
小林そこはうちのセールスポイントですね。現代の音源制作において予算内で相応のスタジオを探すむずかしさを実感してきましたから、これだけリーズナブルにバンドの同時録音ができるスタジオは例がないと思います。これまで予算の都合で一発録りできなかった、若者のバンドにもぜひ使ってほしいです。もちろん、楽器のレコーディングだけではなくボーカル録りも快適に行えます。
松岡なんならロビーもブースにしますから(笑)。
長く音楽業界で活躍され、多くのアーティストの作品を手がけてこられた松岡さんですが、音楽との出会いについておしえてください。
松岡出会い、と言うといつになるかなぁ…。小学生高学年の時に聴いたビートルズかな。
楽器を始めたのはいつごろですか?
松岡中学1年生でギターを始めました。名古屋市の出身ですが、わりと楽器屋が多い地域で、音楽や楽器には馴染みがありました。
中1でギターを手にしたとなると、次はバンドですね。
松岡ライブハウスデビューは名古屋Electric Lady Landでしたね。バンド活動していたころは、同じ名古屋出身で中村達也さんなんかとも対バンしていましたよ。
東京に上京されたのはいつごろですか?
松岡1982年に進学という名目で、実質は音楽活動のために上京してきました。新宿LOFTでバイトしながら、バンド活動を続けて、ポニーキャニオンからデビュー、プロとして活動を開始しました。その後、ツアーのサポートなど活動範囲を広げて、多くのバンド、アーティストのプロデュースを手がけるようになりました。
みんなで息を合わせ、心を合わせた作品づくりを
松岡さんのマネージャーだった、小林さんも音楽活動をされていたのですか?
小林ギターを趣味程度にやっていたくらいで、これといった音楽活動はしてきていませんが、自分でやるよりも、松岡のように音楽業界の前線で活躍している人たちを支える仕事がしたいと思っていました。なので、今はSubmarine STUDIOの運営に全力を注いでいます。
スタジオ運営にも、お二人の絶妙なコンビネーションが活きているように感じます。それでは最後に、Submarine STUDIOからのメッセージをおねがいします。
松岡ミュージシャンたちからは「居心地がよく、落ち着けるスタジオだ」と言っていただけます。みんなで息を合わせて録る、心を合わせた作品づくりを、このスタジオで体験してもらいたいですね。
小林バンドレコーディングから歌入れまで、ミュージシャンの理想に応える音楽的な環境を大切にしたスタジオですので、ぜひ一度ご来店ください。
西新宿に誕生したSubmarine STUDIOから、すばらしい音楽が生み出されることに期待しています。本日はありがとうございました。
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