音楽スタジオファイル Vol.45
SOUND STUDIO M 小岩店
- SOUND STUDIO M 小岩店 について
- 『音楽と人をもっともっと近づけよう』をコンセプトとするオルフェウスレコーズ運営の音楽スタジオ。1981年からの歴史をもち、小岩店を筆頭に、江戸川区と千葉県柏に5店舗を稼働中。小岩店(7〜20帖の全13部屋)のあるオルフェスビルはライブハウスやレコーディングスタジオを併設する東東京の音楽発信地。幅広くバンド活動をサポートするとともに、学校の軽音部への出張指導をはじめ、地域と音楽のつながりを広げる企画・取り組みに注力。「古き良き」を伝え、新しい音楽文化の種を育んでいる。
- SOUND STUDIO M 小岩店 お問い合わせ
- SOUND STUDIO M 公式サイト
江戸川区西小岩1-27-16 オルフェウスビル4F
TEL:03-3672-6316
音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 サウンドスタジオM小岩店 編
このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
SOUND STUDIO M小岩店マネージャー 落合伸彦氏
本日はオルフェウスレコーズグループのリハーサルスタジオ「SOUND STUDIO M小岩店」、マネージャーの落合伸彦さんにお話をお伺いします。まずは、SOUND STUDIO Mの歴史をお聞かせください
最初の店舗がオープンしたのは1981年になります。現在は、場所も移転して、ここ(小岩店)と、西葛西店、一之江店、千葉に柏店、柏Part2店の全5店舗を運営しています。
1981年オープンとなると、かなりの老舗ですね。落合さんが入られたのはいつ頃ですか?
1992年、22歳の頃に入社ですね。最初はお客さんとして利用していました。
となると、まだ、このビル(オルフェウスビル)に移転するずっと前の話になりますね。
そうですね、当時は、ここから少し離れた場所で「サウンドスタジオM 2nd」という店名のリハスタでした。2009年にこのビルが建って、スタジオを移転して、ライブハウスも併設し、名称も「オルフェウス」に統一しました。
ライブハウスオルフェウスも取材させて頂きましたが、スタジオの名前も「オルフェウス」になったのですか?
はいそうです。一旦、オルフェウススタジオに屋号変更しまたが、昔からの馴染みのお客さんから「スタジオエムの名前が懐かしい」と言われることも多いので、2015年5月頃から、スタジオ部門だけSTUDIO Mの名称に戻しました。
なるほど、そういうことだったのですね。この小岩店はSOUND STUDIO Mの中心的な店舗という感じですか?
はい、そのとおりです。レンタルスタジオ各店舗それぞれ、お客さまの層に合わせて、学生向けにしたり、大人向けにしたりと様々な特色がありますが、ここ小岩店は、ライブハウスとレコーディングスタジオを備えていているので、プロ・アマ、あらゆるジャンル層の方に対応できる、総合的な窓口となるようにしています。
音楽への取り組み方は、僕らの世代とは違うなと実感します
落合さんからみて、音楽スタジオやお客さんの変化などついて教えてください。
やはり音楽への取り組み方は変わっていますね。僕らの世代とは違うなと実感します。僕が学生の頃って「なにがなんでも音楽で食っていく!」みたいな、単純なヤツらが多かった(笑)。それで、実際、練習量も多かった。
最近はもうそういう時代ではない?
現在の学生たちは他に遊びがたくさんあって、音楽一筋というわけではないですよね。それに比べると、なにせ当時の遊びといったら「音楽やるか?バイク乗るか?」 の二択しかなかった世代でしたから(笑)。
その時代ゆえのシンプルさはたまらないですけどね。
最近の高校生にスタジオで「卒業しても音楽続けるの?」と聞くと、たいていは「卒業したら(音楽)やめます」と答えます。とてもさっぱりしているんです。僕個人としてはそこから壊していきたいと考えています(笑)。
若い世代の音楽離れは顕著で、深刻ですからね。ぜひ壊して頂きたいです(笑)
なので、以前はロビーで雑談する程度の距離感だったのですが、最近は近隣の学校にある軽音部へ、直接、音楽指導に行かせてもらっています。
学校へ出向いて直接指導!? 一昔前だと想像できないことですね。
現在の学校は割とオープンでして、むしろ生徒たちの部活動を盛り上げようという空気を感じます。顧問の先生も前向きですよ。僕らの世代の頃は隠れてこっそりやる感じだったんですけどね(笑)。
STUDIO Mさんから提案されたのですか?
いえ、生徒さんがスタジオへ練習しにいらしたときに、軽いノリで「よかったら教えに行くよ」と話したら、「ぜひよろしくおねがいします!」と言われて。その後、顧問の先生にも挨拶して、公式に指導させていただくことになりました
実際、指導を始めてからの学生たちの反応はどうでしたか?
音楽活動の取り組み方が「部活」の枠にはまっているので、学生らしく真面目に取り組んでいますね。その分、自分たちから発信していこうというアクションが弱いかな、とも思います。素直に吸収してくれるので、あとは発信することを覚えてくれれば言うことなしですね。今後は東東京と千葉にかけて近隣の学校同士の繋がりを作って、音楽イベントを企画していきたいと考えています。
音楽文化がずっと続いてほしいので、若い世代を育てる
それは素晴らしいですね。ぶっちゃけると、それらはビジネス的な展開も考えているのでしょうか?
今のところは全然ビジネスに結びついてないですね(笑)。今後ビジネスに結びつくかどうかまだ分かりませんが、音楽の将来的なことを考えると、現在は大人世代のバンドが盛り上がっている空気ですが、それが途絶えてしまったときにどうなってしまうのだろう?という不安があります。僕は音楽文化がずっと続いてほしいと願っているので、若い世代を育てていきたいです。
この取り組みは他のスタジオさんも参加するほうが音楽業界にとっても相乗効果が期待できそうです。
でも、なかなか真似できないんじゃないでしょうか? ノーギャラですし、採算度外視でやっていますから(苦笑)。
その他に取り組んでいることはありますか?
学生の指導とは別に、僕自身が大学生や社会人のバンドに交じって演奏しています。同世代やビートルズ世代のバンドなど、最大で7つのバンドを掛け持ちしていた時期がありましたが、スタジオの通常業務も行いながらなので、さすがに最近は数を減らしました(苦笑)。
7つもバンドのかけもちを!? とことんお客さんと交流するスタジオですね。
以前、STUDIO Mの店長からレンタル部門の部署に異動となり、6年ほど担当して再びスタジオの店長に就任したのですが、そのとき、これを機会に「ちゃんとバンド側の気持ちになって店長業務に取り組もう」と思いました。結果「だったらバンドやったほうが早いな」と思った次第です。
実際に利用者の立場になってみると?
そうですね。そもそもお客さんからメンバー不足問題を相談されたことがきっかけでした。元々ギターとボーカルでしたが、ベースでも参加しました。ドラム以外ならできるかなと思って(笑)。
それでは続いて、落合さんと音楽の出会いについてお聞かせください。
中学に入学したら、周りに洋楽を聞いている子たちがたくさんいて、当時はアイドル音楽が全盛で、最初は洋楽をかっこいいと思ってなかったのですが、友だちから紹介されて影響されました。
どんなアーティストを聴いていたのですか?
最初にかっこいいと思ったのは、ビリー・ジョエルの「Honesty」でしたね。衝撃を受けました。でも中学校のうちは楽器を買えなかったので、当時は聴く専門でしたね。
楽器はいつ手にしたのでしょう?
高校に入学してからギターを始めました。初めてバンドを組んだのも高校生のときですね。初めてコピーしたバンドはレベッカです。バンド活動のなかで、キーボード演奏者がシーケンサーを使っているのを見て、「これがあれば曲が作れる」と思い、思いきってシーケンサーとギターを購入しました。
親が高校入学までバンド組むのを許してくれなかった(笑)
両方購入するとは、羽振りがいい(笑)。
子供の頃から貯めていたお年玉貯金を使いました。親が高校入学までバンド組むのを許してくれなかったので、それまで貯金していたんです。高校入学をきっかけに使い果たしましたよ(笑)。
生きたお金の使い方だと思います(笑)。高校卒業の進路は?
高校卒業後は、音響の専門学校に入学しました。高校が厳しい校風で軽音部もなく、あまり楽しく活動できる環境ではなかったので、専門学校に入ってようやくバンドらしく活動できるようになりました。高校生の頃からSTUDIO Mは利用していましたが、専門学校時代に当時の店長と仲良くなってバンドを組むようになり、「もしここでバイト募集していたら声かけてください。」とお願いしたのがきっかけで、入社することになったんです。
人生の半分以上をSTUDIO Mで過ごしてきたんですね。
生粋のSTUDIO Mっ子です(笑)。
それでは最後にSOUND STUDIO Mからメッセージをお願いします。
ビギナーからベテランまで幅広いお客様に対応できるスタジオを目指しております…、て、言い方が堅いな(苦笑)。もっとシンプルに言うならば、楽しんで音楽をやれる環境を提供したいです!
音楽の基本です! 本日はありがとうございました。(※続いて、オルフェウスビル5Fのレコスタの「RECORDING STUDIO ORPHEUS」のインタビューもぜひ御覧ください)
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